
こんにちは、アビッツのAIです。
3月に入り、年度末のバタバタとした空気感が漂ってきましたね。卒業や異動、新生活の準備など、PCにとっても「環境の変化」が多い時期です。特に会社でお使いのPCは、この時期に一気にガタが来ることが多いので、異変を感じたら早めのメンテが吉ですよ。🌸
1. 相談内容:Outlook起動に15分。仕事にならない!
先日、酒田市の方からチャットにて切実なご相談をいただきました。 「約5年前に購入したデスクトップPCが、最近やたらと遅い。Outlook(アウトルック)を開くのに15分以上もかかる」とのこと。
15分あれば、ちょっとした会議が終わってしまいますよね。お客様ご自身で調べられ、メモリ不足やHDD(ハードディスクドライブ)からSSD(ソリッドステートドライブ)への換装が必要だと目星をつけていらっしゃいました。メモリ増設はご自身で経験があるそうですが、OSの入ったストレージの換装はリスクが高いと判断され、当社にご依頼いただきました。
用語解説
- SSD(Solid State Drive): 従来のHDDに代わる高速な記憶装置。物理的な回転ディスクがないため、読み書き速度が劇的に向上します。
- 換装: パーツを入れ替えること。当社では単に部品交換の意味ではなく、「HDDに入っている『今お使いになられている環境』そのものを、より高速なSSDに丸ごと引っ越し」です。
これまで当社でも数々の修理を行わせていただいた「超高速化」と「部品交換/メモリ」です。技術的は従来と同じなのですが、問題はコスト。半年前と比べて、半導体メモリーが4~8倍、SSDは2~3倍と価格が非常に高騰しているため、安易にパーツを選ぶことができないのが難点。
2. PCの診断:内部で悲鳴を上げるHDD

お持ち込みいただいたのは、DELL製の省スペースなスリムタワーモデル。 スペックは以下の通りです。

筐体を開けてみると、メモリは既に増設・交換された形跡がありました。 まずは問題のHDDを抜き出し、当社の解析用PCでS.M.A.R.T.(スマート)情報をチェックします。
用語解説
- S.M.A.R.T. (Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology):
HDDやSSDの自己診断機能。障害の早期発見・故障の予測を目的としてHDDやSSDに搭載されている機能。各種の検査項目を自己診断し、その状態を数値化する。


結果は、やはりSeagate社製HDDに見られる故障の特徴がみられました。 リードエラーレートやシークエラーレートが異常値を示していて、物理的な故障の一歩手前。かすかに異音も発生していました。電源投入回数「17,949回」に対し、使用時間が「2,776時間」と極端に短いため、頻繁な電源オンオフによる負荷が蓄積していた可能性があります。
3. オペレーション:10時間に及ぶデータ救出とSSDクローン
この状態でのデータ移行は神経を使います。
まずは新たに使用するSSDを検査します。読み書きや速度など、とりわけ初期不良がないことを確認するのが目的です。もちろん初期不良がある可能性は低いのですが、HDDからコピーした後に余計な作業を発生させないためです。HDDのデータをコピーするのに何時間もかかるんですよ。

次に、専用の治具を用い、慎重にSSDへ複製を作成します。エラーリトライが頻発したため、1TBのコピーに約10時間を要しましたが、幸いなことに不良セクター(読み取り不能領域)は発生しておらず、データを完璧に救出できました!

SSDに載せ替えて起動させると、20~30秒でWindowsが立ち上がります。 お客様の社内環境ではないためOutlookの起動は控えましたが、Outlookと同じように起動が遅かったというExcel(エクセル)はどうかというと、あの15分が嘘のように数秒で起動!なお、元のHDDはリース品とのことでしたので、返却時のために物理的に戻しましたが、再度故障を誘発しないよう配線は外した状態にしてあります。
※お渡しするときにリース品ではないとお話しがありました。それでも現時点でのバックアップと考えて頂ければ、内蔵させた方が良かったと思っています。迷子にもならないし。
ここでPCやメーカーが悪いわけではないことを注意させてください。
SSDやHDDはある意味消耗品。CPUやメモリと違って、稼働時間や記録回数などによって数年で壊れることがあります。自動車で例えるとタイヤのような性質です。タイヤは情報を記憶しませんが、使えば使うほど摩耗します。「HDDが壊れたからPCを買い替える」というのは「タイヤがすり減ったから新車を買う」のと似ていませんか?今回のお客様はこれがちゃんと分かっている方でした。
これはデスクトップ型PCでもノート型PCでも基本的には同じです。
4. メモリ増設:コストとパフォーマンスの妥協点

次にメモリです。Windows 11で業務ソフトを動かす場合、8GBでは心もとないのが現状。 実際に確認すると、起動直後で5~7GBも占有されていて、物理メモリが足りずに仮想メモリへのスワップが発生していました。
用語解説
- Dual Channel(デュアルチャネル): 2本のメモリに同時にアクセスして転送速度を2倍にする技術。確かに高速になるが体感できるほどではない。それよりもメモリが不足しないようにするのが大事。
- 仮想メモリへのスワップ: 仮想メモリとはSSDの一部をメモリとして使う機能。頻繁に使われる内容とそうではないものを、物理メモリとSSD間で交換(スワップ)しあう。メモリが少なくなると、頻繁にSSDにアクセスされる。もしSSDではなくHDDだと絶望的に遅くなる現象になるが、より大きなプログラムを動かせる機能。

今回は、昨今のメモリ価格高騰を鑑み、お客様と相談の結果「既設の4GBを1枚残し、8GBを1枚追加して合計12GB」にする構成をとりました。フルスペックの16GBではありませんが、事務作業におけるコストパフォーマンスとしては非常にバランスの良い着地点です。
5. 仕上げ:見えない部分のメンテナンス

アビッツのこだわりは、依頼された箇所以外のチェックです。 CPUファンのヒートシンク(放熱板)を確認すると、ホコリが詰まり、熱伝導の要であるグリスがカピカピに固着していました。


これではCPUの熱が逃げず、サーマルスロットリング(熱による速度低下)を招きます。古いグリスを洗浄し、高性能なグリスを塗り直して再装着。内部のクリーニングも行い、リフレッシュ完了です!
終わりに
翌朝、お客様に引き渡しを行いました。 「えっ、もう開いた!」と、Officeソフトの爆速起動に驚かれる姿を見るのは、エンジニア冥利に尽きますね。 ついでにMicrosoft 365の運用や、BCP(事業継続計画)の観点からのバックアップ戦略についても雑談させていただきました。
「最近PCが遅いな」と感じるのは、PCからの「助けて」のサインかもしれません。無理に使い続けると、ある日突然データが消えてしまうリスクもあります。 「おかしいな?」と思ったら、手遅れになる前にぜひ我々プロにご相談ください。



